2013/12/05

原子力発電所の耐震構造について考えてみた

私は一応建築を学びました。
出来が良すぎて5年で卒業するところを3年と少しで自主的に出てきましたが(^^;;

原発について電力会社は地震に対する強度は確保してあると言います。
どんな担保がされているのか気になったので調べて見ました。

耐震については関西電力のホームページに説明がありました。
耐震設計の考え方
ただしこれは私の求める内容ではありません。
建築物の観点から地震に対しては
1.耐震構造
  構造の強度を上げ破損を防ぐ考え方
  基本的に構造を固くするので地震の際の建屋の揺れは大きくなる
2.制震構造
  構造にダンパーを設け揺れのエネルギーを吸収させ破損を防ぐ
  耐震構造より一般的に対費用効果が高く、揺れも少なくなる
  ただし、ダンパーによる耐震なので揺れが無くなることはない
3.免震構造
  地面から構造物をアイソレーターにより浮かせた構造で地面の揺れを建屋に伝えない
  ダンパーを併用することにより共振を防ぐことも可能
  かなり大規模な地震にも対応可能
  強風などにより揺れが大きくなる場合などがあり、超高層ビルの場合には注意が必要
が挙げられます
いくつか探して見たのですが原子炉建屋がどの構造になっているのかという資料は見当たりませんでした。が、この中では3.の免震構造が最適解のように思えます。
私もそう考えていた一人でした。
原発建屋はせいぜい4〜5階建て規模で超高層ビルはおろか高層ビルにすらならないですから。
ところが3.11以降、色々な方と知り合った中に原発の設計に関わった事のある設計技師の方がいらっしゃいました。その方の話から免震構造ではダメだと分かったのです。
なぜなら、原発は一つの建屋で完結していないからです。

福島第一原発の報道写真を見たことがあれば原発が複数の建屋から成る一大プラントであることが容易にわかります。その建屋間を無数の配管が縦横無尽に走っており、その配管こそが原発の生命線でありウィークポイントだったわけです。

個々の建屋は地面から浮かせ、揺れない構造とした場合、地面と建屋は相対的にバラバラに動いているかのような状態になります。一方で配管は途中を基礎で支持されており建屋とは別の動きをします。これでは地震が起きた際、建屋は無事でも配管はズタボロです。

では1.耐震構造や2.制震構造ならばいいのかと言うとそうでもありません。これらは建屋の構造物の破損は防げますが建屋内の物は保護できるとは限りません。個別に保護する必要がありますが建屋が大きく揺れるので原子炉のような大重量物はその揺れのエネルギーを支えきれなくなるでしょう。なにより建屋同士がバラバラに動くこと、それに対する配管の保護については何ら解決出来ないことについては同様です。

本当に「原発の有効な地震対策」はあるのでしょうか?

どんなに地震対策を施そうが建屋が複数に跨る以上は配管がネックになるのは間違いありません。そのため原発は一つの岩盤(巨大な一枚岩)の上に建設しなければならないのです。

日本にそのような巨大な一枚岩が存在しうるのでしょうか?

日本はよくカンナクズに例えられます。大陸棚の下へ太平洋プレートが沈み込む時、その表面をカンナで削ったかのように表面が剥ぎ取られ地表へと押し上げられて来ます。日本はその削りカスの集合体なわけです。

元々が削りカスの寄せ集めであり強固な岩盤など存在すら怪しいのです。ところがこの狭い日本に54基もの原発が建設されています。

電力会社や政府は原子炉の強度や5重構造についての説明は良くしています。それに反して配管についての説明はありません。

配管は剥き出しの血管です。脳や心臓を強固な鎧で守ってもそれを繋ぐ動脈が剥き出しで果たして無事に済むものでしょうか?

結局のところ一枚岩の上であるという事にしたいわけで断層があるとその仮定も崩れるという事です。

と、ここまで書いてきて耐震構造の話から断層の方へ話が流れそうなのでこのへんで。

以上、専門家の方の知見をお聞かせいただけると嬉しいです。
そのような専門家の方がこの裏寂れたブログにお越しいただけるのかどうかは別問題ですw